インドの占いの歴史
神話の国インドの占い事情
精神世界を探求する人の多くが、インドへの道をたどり、深く自分と向き合っています。
そのため、インド=スピリチュアルというイメージを抱く方は多いのではないでしょうか。
ヒンドゥー教や仏教など様々な宗教・哲学の発祥の地でもあるインドは、神々の活躍を描く神話が浸透しており、現在でも人々の生活の中に息づいています。
そしてインドの宗教思想からは、占いも生まれました。
神々を身近に感じながら暮らすインドの人々は、占いも日常的なツールとして活用しています。
日本では困ったときや悩んだときに占いを利用する人が多いですが、インドでは人生の水先案内人として、さまざまな局面で占いが参考にされています。
結婚や仕事などの人生の節目に関する重大事はもちろんのこと、旅行先選びや新しく買った財布をおろす日など、日常的な事柄にも占いが活用されているのです。
インドはスピリチュアルな国として憧れる人が多い一方で、理数系に優れた国としても知られています。
IT関連など科学系の産業によって国は大きく発展していますし、インド式計算法は日本でも大きな話題となりました。
占いも論理的な数値を元にリーディングが行われており、単に神秘的なお告げとしてではなく、サイエンスの1つであるとも考えられています。
学問として成立しており、博士号を持つ占い師も少なくありません。
厳密な数字を元に人生を読み解くインド占星術
インドには手相占いやアガスティアの葉占いなど、さまざまな占いがありますが、最も普及しているのは「ジョーテッシュ」と呼ばれるインド占星術です。
生まれた日や時間、生まれた場所を元に、その人の性格や精神の傾向、体質などその人の本質にかかわることや、結婚相手や仕事運などの未来予想、そして前世のカルマなどの過去生や霊性についてのスピリチュアルな面まで、細かくリーディングしてくれます。
ジョーテッシュとは「光の知識」と呼ばれており、元々は自分の人生や生まれてきた意味を考え、宇宙の真理へと到達するための学問として生まれました。
ヒンドゥー教の思想が反映されているので、過去生やカルマについても占いながら、より良く生きるための指針の役割をしています。
スピリチュアルな霊感が必要ですが、同時に厳密な算術によって読み解かれる科学的な面もあるのが特徴です。
ヒンドゥー教から生まれ、日本にも伝来したインド占星術
インドは歴史の古い国で、紀元前3000年頃にインダス文明が生まれ、発展を遂げました。
その頃から存在した宗教がヒンドゥー教で、紀元前1000年~500年頃にかけてヒンドゥー教の聖典である「ヴェーダ」が編纂されています。
現代でもインドではヒンドゥー教を信仰する人が圧倒的に多く、「ヴェーダ」の思想が広く浸透しています。
ヴェーダの思想に、紀元前200年頃までにギリシアから伝わった占星術が組み合わさり、インド独自の考えに基づくジョーテッシュが生まれました。
この占いは仏教にも取り入れられて、密教の経典である『宿曜経』として記録されて日本にも伝わっています。